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▼ SD戦国伝〈武者七人衆編〉No.42 殺駆三兄弟(ザクさんきょうだい) ▼

 (写真左) 1989年に(株)バンダイから発売された『殺駆三兄弟』です。 ...あぁ懐かしい。
 今回は、僕が子供の頃に作りかけて放置していたキットを使用して制作します。
 長男『古殺駆(コザク)』、次男『今殺駆(コンザク)』、三男『新殺駆(シンザク)』の3体がセットに
 なったお得なキット.....と言いたいところですが、『新殺駆』は改造パーツのみとなっています。

 (写真中央) 『新殺駆』を制作するには、BB戦士 No.14『ザクV』に、このキットの改造パーツを
 装着させます。 これがこのキットの大きな欠点ではないでしょうか。 『ザクV』が手に入らないと
 三兄弟が揃わないのです。

 (写真右) 説明書には、お馴染みの『コミックワールド』も掲載されています。 スイカ割り殺法で
 戦う『殺駆三兄弟』がとても可愛いです。
 

▼ 制作工程(古殺駆) ▼

 (写真左) 中途半端に塗装された素組みの『古殺駆』。 どうやら作り始めて早々にヤル気が無く
 なったようです。 それとも他のプラモに気をとられたのか...まあ子供の頃にはよくある事です。

 (写真中央・右) まずはラッカー系うすめ液で塗装を洗い落します。 『水性ホビーカラー』を使用
 していたので簡単に落ちました。 子供の頃に止まった時間が、いま動き出します。(大げさ。)
 


 (写真左・中央) 殺駆三兄弟の頭の飾りはメッキパーツになっています。 メッキは上記のように
 うすめ液で洗っても落ちないので、『メッキクリン』を使用して落とします。

 (写真右) 綺麗にメッキが落ちました。 (※ 『メッキクリン』については『道具箱』を参照。)
 


 (写真左) 頭の改造をします。 まずこれが素組みの頭です。

 (写真中央・右) とりあえずアゴの裏と左右のカブトの隙間が気になったので、ポリパテで埋めて
 おきました。 黄色いところがポリパテです。
 


 (写真左) 組み立てた時にアゴが胸に当たるので、アゴが少し上を向くように首の取り付け軸を
 ライターであぶって曲げてやりました。 失敗すると直すのが大変なので緊張する作業でした。

 (写真中央・右) 頭の飾りの裏は、隙間をポリパテで埋めておきました。
 


 (写真左・中央) 腕の改造です。 素組みでは、肩のヨロイはプラスチックの弾性を利用して肩に
 ハメ込む方式になっており、また腕の可動箇所は腕の付け根の回転のみとなっています。

 (写真右) 肩のヨロイはボールジョイントで接続するように改造しました。 ここで使用したボール
 ジョイントは(株)コトブキヤの『ポリユニット スタートセット1』に入っているボールジョイントです。
 大きさもジョイントの噛み合う力も、これが一番ちょうど良いのですが、なかなか手に入らなくて
 ずいぶん困りました。(結局、足りない分はネットで買いました。)
 あと、肩のヨロイの裏はエポキシパテでテキトーに慣らしておきました。
 


 (写真左・中央) 腕は、接着後に上腕部で切断してポリキャップで接続するように改造しました。
 これで肘部分で回転できるようになりポーズの幅が広がります。

 (写真右) 改造後の腕。 外観は変わっていませんが分割しやすくなり可動範囲も増えました。
 肩のヨロイの可動範囲はちょっと減ったかも知れませんが、まあここはそんなに動く必要もない
 と思うので、これで良しとします。
 


 (写真左) 足は接続をボールジョイントに変更してやりました。(左が改造後で、右は改造前。)
 足の内部にはポリパテを詰め込んであるので、重量感タップリで安定感も良いです。

 (写真中央・右) これは腰の前面に取り付けるパーツの裏側です。 目立たないところですが、
 やはりスカスカ感が気になったのでポリパテで埋めておきました。
 


 (写真左) 胴体を下から見たところ。 本来ポリキャップが入る部分を利用してボールジョイントの
 受けを仕込みました。

 (写真中央・右) 腰の側面は途中からヨロイのディテールが無くなっているので、スジ彫りをして
 ディテールを追加しておきました。
 


 (写真左) 『古殺駆』の飛び道具のバズーカは弾を発射する事も可能。 写真は素組みの状態。

 (写真中央・右) 出来が良くてカッコイイのですが、後ろがのっぺりして迫力不足なので、市販の
 プラパーツでディテールアップしてやりました。
 

改造前改造後

 これで『古殺駆』の改造は終了です。
 改造前と比べて外観はほとんど変わっていませんが、可動範囲が広がりました。 元々出来の
 良いキットなので、これだけやれば十分だと思います。

 あと、改造後の写真で後姿のやつ.....バックパックが逆さまでスミマセン。
 

▼ 制作工程(今殺駆) ▼

 (写真左・中央) 頭の改造.....と言っても、口の部分に横一列に均等にスジ彫りを施したプラ板を
 接着しただけです。 キットの出来が良いのでこれで十分だと思います。

 (写真右) あと、頭の飾りの裏は『古殺駆』同様、隙間をポリパテで埋めておきました。
 


 (写真左・中央) 右腕の改造です。 『古殺駆』と同様に、肘部分で回転できるようポリキャップを
 仕込み、肩のヨロイはボールジョイントで接続するようにしました。 使用したボールジョイントは
 これも『古殺駆』と同じ『ポリユニット スタートセット1』に入っているボールジョイントです。
 あと、肩のヨロイの裏をエポキシパテでテキトーに慣らしておきました。 これも『古殺駆』と同じ。

 (写真右) 改造後の右腕。 外観は変わっていませんが可動範囲が広がりました。
 


 (写真左) 左腕の改造です。 まず、これは改造前の左腕のヨロイと武器の鉄オノです。
 ヨロイには穴が開いており、ここに鉄オノの突起を差し込んで固定できるようになっています。

 (写真中央) ヨロイの内側。 素組みではこんな感じになっています。

 (写真右) 肘の回転や肩のボールジョイントなど、右腕と同様の改造をします。 ヨロイの内側は
 ダボを削り落として、プラ板などを貼り付けておきました。
 


 (写真左) 上から見るとボールジョイントが丸見えだったので、プラ板で塞いでおきました。

 (写真中央・右) 鉄オノを固定する穴はプラ棒で塞いで、代わりにUの字に曲げた真鍮線を取り
 付けました。 穴が開いてるよりカッコイイし、これで鉄オノの余計な突起もなくなりました。
 


 (写真左) 足と胴体の接続は、『古殺駆』と同じ改造でボールジョイントに変更しました。

 (写真中央・右) 『今殺駆』の飛び道具はマシンガンです。 マガジンとスコープの裏をポリパテで
 埋めて(肌色部分)、マシンガン本体の肉抜き穴もポリパテで埋めて(黄色部分)、スコープには
 前後に市販のプラパーツ(濃いグレー部分)を接着してやりました。 弾を発射する事も可能。
 

改造前改造後

 これで『今殺駆』の改造は終了です。
 先に改造した『古殺駆』以上に出来の良いキットだったので、改造もちょっとだけで済みました。
 写真を見てもらえば分かりますが、外観的にはほとんどなんにも変わっていません。

 あと、改造後の写真で後姿のやつ.....またバックパックが逆さまでスミマセン。
 

▼ 制作工程(新殺駆) ▼

 (写真左) 最もヤッカイな『新殺駆』の制作です。 『新殺駆』は BB戦士 No.14『ザクV』に、改造
 パーツを装着させるという作り方なので、ひとりだけ明らかに雰囲気が違うのです...。
 『古殺駆』、『今殺駆』に雰囲気を近付けるためは、ちょいと大がかりな改造が必要です。
 写真は、子供の頃に作ったザクVを使用して仮組みしたところ。

 (写真中央・右) 上記子供の頃に作ったザクVの塗装を落として制作しようと思ったのですが、
 右腕の損傷が酷かったので、『SDガンダム G-ZERO』シリーズの『ザクV改』を購入しました。
 まあ、何かあった時には旧・ザクVにも助けてもらいましょう。
 


 (写真左) 頭の改造です。 まず 『今殺駆』同様、口の部分に横一列に均等にスジ彫りを施した
 プラ板を接着してやりました。

 (写真中央) あと、頭飾りの位置を下げてやりました。 グッと引き締まった顔になります。

 (写真右) 頭の飾りの裏側は、『古殺駆』、『今殺駆』と同様にパテ(今回は『エポキシパテ』)で
 埋めておきました。
 


 (写真左) 素組みの右腕。 『古殺駆』や『今殺駆』の腕と比べると妙に長いです。 肩アーマーを
 取り付ける角度もなんか変...。

 (写真中央) 改造後の右腕です。 まずは『古殺駆』『今殺駆』と同じく、肘部分で回転できるよう
 ポリキャップを仕込むのですが、その際に上腕部を大幅に削って長い腕を短くしてやりました。
 前腕部は、キットのスジ彫りをポリパテで埋めてから新たに2本のスジ彫りを彫り直して、さらに
 市販の丸いプラパーツ(グレー部分)を肘の辺りに接着してやりました。
 気になる肩アーマーの取り付け角度も変更しました。
 ちなみに、肩ブロックの色が白く変わっているのは、『ザクV改』の腕を改造中に失敗してしまい
 予備として保管していた『ザクV』のパーツを流用したからです。 取っといてヨカッタ。

 (写真右) 肩アーマーは、市販の丸いプラパーツを接着してスジ彫りを追加してやりました。
 


 (写真左) 左腕の改造です。 素組みではこんな感じ。

 (写真中央) 改造後の左腕。 基本的に右腕と同じ改造です。

 (写真右) 肩アーマーの裏が寂しかったので、市販の四角いバーニアパーツで穴埋めしました。
 


 (写真左) 足の改造です。 素組みではこんな感じ。

 (写真中央) 『古殺駆』『今殺駆』と同じく、関節はボールジョイントに変更しました。 ジョイントが
 目立たないように、市販のプラパーツも接着しています。

 (写真右) 後ろから見た足です。 キットの丸いノズルは削り落として市販の丸ノズルを接着して
 やりました。
 


 (写真左・中央) 最も大変な胴体の改造です。 まず関節ですが『古殺駆』『今殺駆』が各関節に
 ポリキャップを使用していたのに対して、『新殺駆(ザクV)』は首以外すべてプラスチックです。
 これでは保持力が弱々しくて頼りない感じです。

 (写真右) なので、まず腕の関節(付け根)をポリキャップに変更してやりました。 ポリキャップの
 軸を受けるための土台は、ポリパテやエポキシパテで作りました。
 


 (写真左) 足の関節はボールジョイントに変更。 『古殺駆』『今殺駆』のように、ポリキャップ用の
 軸受けを利用する事が出来ないので、プラ板やエポキシパテでボールジョイントを受ける土台を
 作りました。

 (写真中央・右) 首の取り付け軸が前方に寄っているため猫背に見えるので、軸をやや後方に
 ずらしてやりました。
 


 (写真左) 次は胴体のディテールについて。 まず素組みの胴体はこんな感じです。

 (写真中央・右) 胸部の中央にはスジ彫りを追加し、左右には市販のリベットパーツを接着して
 やりました。 腰前面のバーニアノズルは、市販の四角いバーニアパーツを使って写真のように
 改造しました。 あと、フロントアーマーにはスジ彫りを追加しました。
 


 (写真左) 次は背面のディテールについて。 素組みではこんな感じです。

 (写真中央・右) まず、リアアーマーの3本のスリットをパテで埋めて、リアアーマーの上部には、
 新たにスジ彫りを追加してやりました。 あとは、市販のリベットパーツや丸パーツなどを適当に
 埋め込んでおきました。
 


 (写真左・中央) バックパックはほとんど素組みです。 何か変わった点と言えば、真ん中に丸い
 プラパーツが接着してある事ぐらいですが、これは間違えて開けてしまった穴を隠すためです。

 (写真右) バックパックの裏は空洞だらけでスカスカだったので、エポキシパテでギッチリ埋めて
 やりました。
 


 (写真左) 説明書には書いてありませんが、『新殺駆』は『新月』という刀を持っているのです。
 ....が、この『殺駆三兄弟』のキットに『新月』は入っていないので、ジャンクパーツから見つけた
 『殺駆頭(ザクト)』の刀を改造してやる事にしました。

 (写真中央・右) ラッカー系うすめ液で塗装を洗い落として、刀の鍔(つば)の部分を削り落とし、
 エポキシパテで新たに鍔を作ってやりました。
 


 設定では『新殺駆』は飛び道具を持っていないのですが、せっかくなので『ザクV』のバズーカを
 持たせてやる事にしました。 市販のリベットパーツ(グレー部分)を接着して、何となく戦国風に
 してやりました。
 

改造前改造後

 これで『新殺駆』の改造は終了です。
 『古殺駆』、『今殺駆』と比べると格段に出来が悪い...と言うか、キットの作りそのものが違うので
 改造も大変でした。 でもこれで三兄弟揃った時の『新殺駆』の違和感は解消されたと思います。

 ちなみに、バズーカは左肩の後ろに穴を開けて取り付けられるようにしてあります。
  

(おまけ)

 (写真左) サフ吹き後、両腕のディテールが足りないと思ったので市販のリベットパーツを接着。

 (写真中央) 胸部のリベットは、左右に3つだったのを6つに増やしました。

 (写真右)サイドアーマー、リアアーマーのディテールやスジ彫りも変更しました。
 

▼ 塗装工程 ▼
(どれもほとんど同じなので『古殺駆』を例に解説します。)

 塗装については、これと言って大変な事はしていません。
 とにかく『マスキングしては吹き付ける』の繰り返しです。

 細かい事を言うと、『ゴールド』とか『シルバー』を塗装する時には、下地を『ブラック』にしておくと
 綺麗に発色するので、下地は必ず『ブラック』で塗装しておきます。

 写真は『古殺駆』の胴体。 左から、『薄松葉色』で下地塗装〜マスキング、中央は、『ブラック』で
 下地塗装〜マスキング、右が、『ゴールド』吹き付け。 こんな感じです。
 


 あと、これも技術的な話ですが、濃い色の上に明るい色を塗装する時には下地に『ホワイト』を
 塗っておくと綺麗に発色します。

 写真は、濃い下地色に『ホワイト』を塗ってから『モンザレッド』で塗装した例です。
 


 ちょっと変わったマスキング方法として、今回はキットに付属しているシールを使ってみました。

 (写真左) まず下地に『ホワイト』を塗装。

 (写真中央) キット付属のシールを貼ってマスキング。

 (写真右) 次に塗装する『シルバー』のための下地として『ブラック』を塗装。
 


 (写真左) 『シルバー』を塗装。(ここでは(株)ガイアノーツの『スターブライトシルバー』を使用。)

 (写真中央) すべてのマスキングを剥がします。

 (写真右) はみ出しを修正してから、エナメル塗料の『フラットブラック』でマーキングを手描き。
 


 (写真左) モノアイ(目)の塗装には、この直径5mmの円形のシール(105円)を使いました。

 (写真中央) まず頭部全体を『薄松葉色』で塗装。

 (写真右) 『薄松葉色』をマスキングして『モンザレッド』を塗装、『モンザレッド』をマスキングして
 『ピンク』を塗装します。
 


 (写真左) 『ピンク』で塗装したところに円形のシールを貼ってマスキングします。 部分的にカット
 してやると貼りやすいです。

 (写真中央・右) 『ブラック』を塗装して、『シルバー』を塗装します。
  


 (写真左・中央) すべてのマスキングを剥がします。

 (写真右) 筆塗りで、はみ出した部分を修正したり、吹き返し(耳の銀色部分)の塗装をしてから
 エナメル塗料の『フラットブラック』でスミ入れを行います。

 円形のマスキングを行う時は、このように既製品のシールなどを利用すると便利です。
 

▼ 組み立て ▼
(どれもほとんど同じなので『古殺駆』を例に解説します。)

 (写真左・中央) 腕の組み立てです。 まず肩と腕を接続。 その後、肩のヨロイを取り付けます。

 (写真右) 両足を取り付けます。
 


 (写真左・中央・右) 胴体中央部のツノ飾りパーツ、バックパック、刀をそれぞれ取り付けます。
 


 (写真左) 両腕を取り付けます。

 (写真中央・右) おでこに飾り(カブトの前立て)を取り付けて、その頭を胴体に取り付けます。
 


 (写真左・中央) もうひとつの武器の『バズーカ』は、手に持たせても腰に取り付けてもOKです。

 (写真右) こんな感じで『今殺駆』『新殺駆』も組み立てました。(完成品の画像はこちらです。)
 

(ちなみに...)

 (写真左) 『今殺駆』の武器『鉄オノ』は、左肩のヨロイの後ろにあるU字部分に差し込みます。

 (写真右) 『新殺駆』の武器『バズーカ(大筒?)』は、右肩の後ろに取り付ける事ができます。
 

▼ おまけ画像 ▼
「お、殺駆三兄弟じゃ。」
コラコラ。

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